第67回定期演奏会アンコールについて

本日のアンコール

ホセ・パブロ・モンカーヨ 作曲
ウアパンゴ


José Pablo Moncayo
Huapango

アンコール曲解説~指揮者・大井剛史氏

モンカーヨ:『ウアパンゴ』について、簡単なご案内~⼤井剛史

 ある国以外ではほとんど知られていないけれど、その国ではとても良く知られている管弦楽曲というのはしばしば存在する。⽇本における外⼭雄三『管弦楽のためのラプソディ』のように。今回アンコールで演奏したホセ・パブロ・モンカーヨ (José Pablo Moncayo, 1912-1958) の『ウアパンゴ (Huapango)』 (1941年8⽉15⽇、カルロス・チャベス指揮メキシコ交響楽団 [現・メキシコ国⽴交響楽団] によって初演) は、まさにメキシコにおけるそうした1 曲。彼の地でこれを演奏すれば演奏者も聴衆も⼤盛り上がり間違いなしといった逸品で、「メキシコ第2の国歌」という⼈もいるくらいである。嘘だと思ったらYouTubeで検索してみてください。上のほうにはヨーロッパのオケの演奏が出てくるかもしれませんが、その下には様々なメキシコのオケの動画があがっていますよ。

 『ウアパンゴ』というのはメキシコの⾳楽のスタイルのうちの⼀つで、メキシコ各地にご当地の曲があるようである。モンカーヨの『ウアパンゴ』ではベラクルス州アルバラード港のあたりに伝わる『El Siquisirí』『Balajú』『El gavilán』の3曲が⽤いられていて、つまりこの曲はトラディショナルな曲のメドレーといった趣がある。今回の演奏会のプログラムに登場しないにも関わらず、指揮者のわがままでアンコールだけ引っ張り出されたハープが⼤活躍するが、これはもともとはアルパ・ハローチャ (Arpas jarochas) という (ベラクルス州由来の) ⼩型のハープによって奏でられていたもの、これをグランドハープで弾くのはとても⼤変なことである。

 曲は簡単に⾔えば急〜緩〜急の三部構成でできている。楽想はほんとに明るさしかない!

 さて、私がどうしてこの曲を知ったかというと、1997 年に藤沢のジュニアオーケストラとメキシコに演奏旅⾏に⾏った時にアンコールの曲として演奏されたから(ただし、その時はメキシコの指揮者の⽅がこの曲を振られた) 。この時、⽇本ではほとんど知られていないけれども、こんな素敵な曲が南⽶にあるんだということを知り、⾃分の中の扉がバーンと開いた。以来、ヨーロッパの作品とはまた違ったラテンアメリカのクラシック作品に惹かれ続けている。いるけれども、普段はなかなか振れる機会がありません。今⽇はほんとに楽しかった。⽔響に感謝!

 そういえば、最後のほうで演奏者の雄叫びが聞こえましたか? 楽譜には書いてないのですが、メキシコでは伝統的にあれをやる習慣があるようで、今回はメンバーにお願いしてやってもらいました。⽔響なら絶対盛り上げてくれると信じていましたから。笑